AV出演被害防止・救済法成立。AV撮影スタジオという名の新手の風俗ビジネス誕生？

AV出演被害防止・救済法成立。AV撮影スタジオという名の新手の風俗ビジネス誕生？
もともと、成年年齢引き下げに伴う、１８歳、１９歳のアダルトビデオ出演スカウトの悪質勧誘を禁圧することが目的だった、AV出演被害防止・救済法ですが、最終的にはあれもこれもで訳の分からない感じになってしまった感じがします。
特に、ネット上での拡散に重きを置き過ぎてしまい、撮影行為そのものが、いい悪いは別として置き去り（というか現実離れ）になってしまった格好になってしまってます。
法３条４項で、売春防止法なり風営法は生きてますよ、といっている一方で、性行為そのものは合法という整理ですので、売春防止法で禁止されている売春か否かは「不特定」性にかかってくる、ということ、、、で、、、、これに関し、今回の法律では、「１月前」に出演者を「特定」するということで、「売春性」をクリア、という整理になっているようです。
これを裏返すと、１月前に（撮影）予約をすれば、堂々と性交ビジネスができるといったことになります（まあ、ピーク時の新幹線の予約じゃないんだから、、、という話はありますが）。このあたり、風俗業の「予約制」は「不特定」性を回避するという点で意味がありそうです（売防法の定義や全体像からして、「歩いてるどこの誰だかわからない人間の袖を引く」というのを「不特定」性としている感がありますので；個人の感想です）。

それはさておき、「１月前」に出演者を「特定」ということになりますと、いきなりの撮影が不可能になり、金回りの厳しい製作者や出演者にはありがたくないシステムと思われます。土壇場で出演キャンセルが出た場合のダメージも大きそうです。
このあたり、撮影期間と出演者に幅を持たせて、とかいう対応でクリアなのかもしれませんが、なんかなあ、といった気がします。
このあたり、２回目以降は、本人の真意に基づく希望があれば出演そのものは短縮も可、とするなりして、本来、予定していた１８歳・１９歳の初回出演にフォーカスした格好にするべきだった気もするところです。

結果的に、（既存の）出演者の権利と自由を侵害する事態発生、というのは滑稽な話でもあり、単に各種（路上・ネット）スカウトを重罰化するだけで十分だったのでは、といった感ありです。




（参考）
AV法

第三条
４ 制作公表者及び制作公表従事者は、性行為映像制作物の制作公表に当たっては、この法律により刑法（明治四十年法律第四十五号）、売春防止法（昭和三十一年法律第百十八号）その他の法令において禁止され又は制限されている性行為その他の行為を行うことができることとなるものではないことに留意するとともに、出演者の権利及び自由を侵害することがないようにしなければならない。

第四条 出演契約は、性行為映像制作物ごとに締結しなければならない。
２ 出演契約は、書面又は電磁的記録でしなければ、その効力を生じない。
３ 前項の出演契約に係る書面又は電磁的記録（以下「出演契約書等」という。）には、制作公表者及び出演者の氏名又は名称その他制作公表者及び出演者を特定するために必要な事項並びに当該出演契約の締結の日時及び場所のほか、次に掲げる事（当該制作公表者に係る部分に関する事項に限る。）を記載し、又は記録しなければならない。
一 当該出演者が性行為映像制作物への出演をすること。
二 当該出演者の性行為映像制作物への出演に係る撮影を予定する日時及び場所
三 前号の撮影の対象となる当該出演者の性行為に係る姿態の具体的内容
四 前号の性行為に係る姿態の相手方を特定するために必要な事項
五 当該性行為映像制作物の公表の具体的方法及び期間
六 当該性行為映像制作物の公表を行う者が制作公表者以外の者であるときは、その旨
及び当該公表を行う者の氏名又は名称その他当該公表を行う者を特定するために必要な事項
七 当該出演者が受けるべき報酬の額及び支払の時期

売春防止法

第二条　この法律で「売春」とは、対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交することをいう。