ということで、久々の判例を旅する、です。
大判昭和10年4月25日と、なんせ戦前の判例ですので、舞台となったカフェー丸玉は、当然なく、パチンコ屋、そしてラオックスとなっていた跡地も、コロナ禍で微妙な廃墟状態です。
民法の判例としての価値は微妙ですが、カフェー丸玉というネーミングにインパクトがあり、判例自体の名前は割と有名です。
判例の内容としては、道頓堀の歓楽街に、チップ制の店員(女給)としゃべれ、仲良くなると、一緒に外出でき、個別交渉で性交も出来るという、カフェー(今のカフェではない)の一つ、丸玉の女給を気に入った男が、ねんごろになるため、高額のお金をあげるんでやらせて、といって女給を口説いて性交に成功した後、女給が男に約束の金払え、となったところ、男が自主的に払うんだったらOKだけど、そうでないなら、「支払いを強要することのできない特殊の債務(自然債務)」なので、単純な贈与契約に基づく支払いはNGとされた判例です。
このあたり、各種風俗店で、「前払い」を原則とするのは、この判例を踏まえたものと評価できるかもしれません。
まあ、大審院は、性交目的としては、常識的には高額に過ぎ、半分ネタで言っただけとの整理ですので、当時の一般的な性交目的の金額だったら、どうなったか、という話はありますが、この場合は、男の側の主張である、性交目的のカネなので90条違反で無効、ということになりそうではあります。

カフェー丸玉跡(丸玉は戦後、パチンコマルタマ、パチンコドラゴンゲートと変遷し、ラオックスに)。

裏に回ると、パチンコドラゴンゲートの名残がいまだ健在。
この裏通りは、昔の道頓堀の猥雑感が残っています。
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