戦前は戦死者の集団墓石的な要素があり、リスペクトを強制させられていた、忠魂碑ですが、戦後はそういった性格が否定され、存続そのものが怪しくなっていたところ、戦後の逆コースの流れで、また日本遺族会がロビー団体として力を回復させつつあったところ、たまたま、公立学校の改修の都合で、忠魂碑を移転する必要があったので、近くの土地を提供したところ、左翼系の住民やら、非神道系の住民やらが、例によって、憲法89条、20条3項違反ということで、訴訟を起こしたというのが、箕面忠魂碑訴訟@箕面忠魂碑。
主体が遺族会で、戦没者慰霊目的、外形的にはタダの石碑、ということで、津地鎮祭訴訟でいうところの「目的効果基準」に照らすと、宗教的行為ではない、ということで、原告敗訴となりました。
左派対右派の対立が、信教の自由に関する訴訟で現れたといったのが実態でしょう。
まあ、遺族会自体が完全に弱体化しており、このときのレベルで訴訟をすると、老人虐待ですw
沖縄那覇の孔子廟訴訟では、日本のグローバル化を背景に、右派対左派が攻守交替した感もあり、ある意味、興味深いところです。
余談ですが、右派が原告となる憲法訴訟、裁判所の忖度か? 感覚的に勝率が意外と高い感じです。
さて、箕面忠魂碑ですが、意外と立派だったりします。


忠魂碑のことを、道端のお地蔵さんとおなじようなものと評する情報がありますが、少なくとも、箕面忠魂碑は、それとは根本的に異なります。結構、デカいものであり、敷地も広く、碑の戦前からの来歴を考慮すると、原告が訴訟をやったのも理がある感じで、軍神を祭ったミニ神社に敷地を提供しているとの評価も可能か?
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