修学旅行のキャンセル料。自社の手数料を請求するふざけた旅行会社がある模様。
というタイトルのとおりなのですが、少々びっくりな報道だったのが、今回の新型コロナウイルスのせいで、修学旅行を中止せざるを得なくなったところが結構あったようです、特に春の修学旅行。
で、この修学旅行のキャンセルについて、旅行会社が、ちゃっかり、企画料金と称する、一人当たり数千円の金額を、キャンセル料として請求をしていることには、ビックリです。新型コロナで貧すれば、鈍する。。。このような旅行会社は、今後、使うべきではありません。というか、世間知らずの学校の教員が、右から左へと、旅行会社からの請求を生徒に付け回しているだけ、というのは全くいただけません。
修学旅行というと利益率が大きく、学校の教員をヨイショだけしていれば受注にありつける、おいしい商売で、談合も時々バレるという商品で、旅行契約的には受注型企画旅行か手配旅行というのが一般です。
で、前者について、単なる行程表作成をもって企画料金をボッタくる商品があったりします。
形式的には、標準約款16条2項3号で「天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。」はキャンセル料無料であり、今回のコロナは、「運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止」「官公署の命令その他の事由」で「旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき」に該当するものと考えられ、キャンセル料は取れないと考えられます(旅行会社のほうからも17条5号でキャンセルできることになっています)。
また、実質的に見ても、新型コロナ理由のキャンセルについては、公共交通機関のほとんどが、直前キャンセルでもキャンセル料を免除しています(そもそも数か月先のキャンセルはキャンセル料がかからない)。
宿泊施設についても、当たり前ですが常識的なところは柔軟な対応です(強欲なところはルール通りのようですが、次年度以降は使ってもらえないこと確定ですし、旅行会社にキャンセル料寄越せは結構困難)。
飲食・入場系のところは、そもそも直前でない限り、キャンセル料という概念がありません。
ということで、旅行のパーツにはキャンセル料が発生しないにも関わらず、旅行会社だけ、ちゃっかり企画料金をいただく、というのは、タイトルどおり、ふざけた旅行会社、です。
旅行会社の言い分としては、キャンセルの連絡に費用が掛かる、行程を考える・教師を下見に連れて行ったのでカネがかかった、といったところでしょうが、今の時代、至急電報でキャンセルの連絡をするバカはおらず、コストゼロのメールが基本。行程を考える・教師を下見に連れて行ったのでカネがかかった、は知ったことではありません。
ということで、形式的にも、実質的にもキャンセル料無料が基本(無論、例外はありますが限定的)。
このあたり、自治体ではキャンセル料を予算化したところもあるようですが、これ、教育予算で、旅行会社や旅行産業を救済するもので、変な話です。
(参考) 標準旅行業約款 受注型企画旅行契約の部 (旅行者の解除権) 第十六条 旅行者は、いつでも別表第一に定める取消料を当社に支払って受注型企画旅行契約を解除することができます。通信契約を解除する場合にあっては、当社は、提携会社のカードにより所定の伝票への旅行者の署名なくして取消料の支払いを受けます。 2 旅行者は、次に掲げる場合において、前項の規定にかかわらず、旅行開始前に取消料を支払うことなく受注型企画旅行契約を解除することができます。 (中略) 三 天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の事由が生じた場合において、旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。 (当社の解除権等-旅行開始前の解除) 第十七条 当社は、次に掲げる場合において、旅行者に理由を説明して、旅行開始前に受注型企画旅行契約を解除することがあります。 (中略) 五 天災地変、戦乱、暴動、運送・宿泊機関等の旅行サービス提供の中止、官公署の命令その他の当社の関与し得ない事由が生じた場合において、契約書面に記載した旅行日程に従った旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となり、又は不可能となるおそれが極めて大きいとき。 (追記)
企画料相当分は標準約款16条1項別表で、契約後からいつでもキャンセル料としてとれるから問題ないという話もあるのですが、1項適用の例外として2項の無キャンセル料規定があり、今回の新型コロナ騒動は少なくとも、「旅行の安全かつ円滑な実施が不可能となるおそれが極めて大きいとき」に該当するということから、1項ではなく2項適用でキャンセル料なし、という結論に至るべき、というのが、本記事の流れです。
このあたり、キャンセル料が発生するのはやむなし、という世論誘導が早期にあった感があります。ちなみに、自民党の二階さんが運輸族の親方で、ANTAの会長というのは、この世論誘導にあまり関係がないと思われます。修学旅行を仕切るのは、ANTA加盟の小規模旅行会社ではなく、基本はJATA加盟の大手旅行代理店の修学旅行(教育旅行)専門のセクションだからです。
それにしても、2、3月の修学旅行のキャンセルでちゃっかりキャンセル料をとった業者さんは、4月以降、新型コロナの被害者面するのは、ちょっと勘弁、です。
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